木の家の良さは国産材だけにとどまらない。輸入材の中には湿度の高い東アジアのこの国の自然環境に則した優秀な木もある。例えば米杉=ウエスタンレッドシダーだ。中でも厳しい太陽光と海からの潮風、あるときは強風さえみまわれる湘南地区では自然環境に奇跡的にマッチする住宅資材でもあるのです。時代とともに変化する多様なニーズにも「スタンダードな米杉の家」は、ぶれることがありません。
お話◎鶴田幸夫(株式会社バウムスタンフ代表)
バウムスタンフはなぜ米杉の家をつくったのでしょうか?
わたしの場合、以前ある雑誌の広告を見てすごく感動したことがありました。まわりの人は、木なんてだめだよ、こんなのすぐに腐っちゃうよ、と否定的でしたが、わたしはそれでも実際にそれを見てみたい、こういう家を建ててみたいんだと強く思いました。もう惚れちゃったんですね。今の会社に入る時に、会長から見せられたのが米杉=ウエスタンレッドシダーの家でした。それでもう決まり! こんな家を建ててみたい、ここで働きたい、となったわけです。
当時は木のバランス、本来の米杉の良さや経年変化することも充分に知らなかったのですが、なにしろこの家がいいと思いました。そのあと、カリフォルニア・サンフランシスコの北にあるシーランチの外壁に米杉を貼って経年変化した家の写真(雑誌GAに掲載)を見せてもらったんです。なんと120年くらいの歴史があって、ほとんどメンテナンスもなくいい風合いを出している写真でした。それを見た時にまさに湘南の家ってこれなんだ、と思いました。当然ですが自分が好きだったらお客様に勧められるし、お客さんも(話に)入ってこられます。
メンテナンスし易さもありますが、根本的な米杉の良さ、天井の貼られた柾目の美しさに惚れて、やっぱり家には木だよな、という方は多いです。木には冷たさがないのです。家というのは帰ってきて一番落ち着いてリラックスする場所だから、自分が年を重ねるとともに木も経年変化していく、味が出てくる、それを味わえるのが唯一米杉なんだろうと思います。多くのお客さんが、家に帰るのが楽しくなった、そうおっしゃいます。自分で建てるとよくわかります。ワインみたいに、ようやく2年ものになってきたなあとか、愛着がわいている。自分の家を眺めて楽しんでいらっしゃいます。
歳を重ねるとともに木の魅力が分かってくることもあります。
木が嫌いな人も当然いるのですが、やはり日本人はもともと木が好きなのですね。木というのは人が住まう中で一番身近かな材料だと思います。赤ちゃんがどんどん大きくなっていくように、木もそこに住まう人の成長に合わせて経年変化していく。家族にとって愛着のあるものだと思います。わが社もそれを目指して家をつくっていますから、心から木の家をお勧めしています。先ほども言いましたが、木自体の性能がいいのでメンテナンスで気を使うことも少ないですからね。
木の家というのは一般的に、燃えやすいとか古くさいとか、多少の誤解もあると思います。
そうですね。木については一生懸命説明をさせていただききますが、その先はお客様の暮らし方のセンスです。そんなセンスをお持ちの方の絶対数は、湘南地域は圧倒的に多いと思います。私たちは高い品質を維持しながら企業努力の末リーズナブルな価格であたらしい価値を作り出していきます。米杉の家の良さ、そのコア(芯)となる部分はどんなに時代が新しくなっても変わることはありません。
米杉(べいすぎ) ヒノキ科ネズコ属の針葉樹で、北米太平洋岸北西部に多く見られる。英名はWESTERN REDCEDAR(ウエスタンレッドシダー)。木質は軽量で加工が容易で腐りにくく防虫効果も高い。耐久性も高いため、建築建具の材料としては多く用いられます。ベイスギ (米杉) の名がつく日本のネズコと同属で、米国産の杉を意味するものではありません。また特有の芳香があるのも大きな特長です。
鶴田幸夫◎(株)バウムスタンフ代表取締役。バウムスタンフは山中清昭氏が平塚市で設立。平成20年現職の鶴田幸夫が代表取締役となる。米杉を材料としたツーバイフォー住宅を中心に据えた湘南を代表するハウスビルダー。現在オフィスは藤沢市辻堂に。