50歳代の家づくりは人生のさまざまなシーンを見て、聞いて、経験してきた賜物だ。自分の嗜好にトレンドもしっかり盛り込む。そんな家づくりはじつに楽しそうだ。
千葉県一宮町は、全国的に先駆けて1980年代からサーファーの移住を受け入れてきた町。西の湘南、東の外房といわれるほどの日本最大級のサーフタウンだ。波質の良さはもとより東京2022オリパラでサーフィンの競技会場となったほど人々のサーフィンへの理解度が高い。
さらに遡れば明治以来、西の大磯、東の上総一宮といわれるほど文化人の別荘地として高貴な町でもあった。いまでは町内を流れる大きな一宮川の南側は東浪見を中心とした若い世代の活気溢れるサーフタウンを形成しているが、北側の船頭給あたりの落ち着いた環境も捨てがたい。実際新しい移住者の住宅が生まれはじめている。
「サーフィンは17歳頃からですからもう30年以上。東京に住んでいた頃から海はもっぱら千葉方面です」と話す施主のYさん。
直近では江戸川区にお住まいだったご夫妻は、王道の東京からの移住者。とはいっても長年サーフィンで通い慣れていた房総だから地域の特性はよくご存知だ。
会社員だから海に来れるのは週末だった。そんなライフスタイルを大きく変えたのはコロナから始まったテレワークという働き方改革。Yさんも今では週に2回東京に通う程度だ。
コロナの頃から毎週サーフ&キャンプで出かけることが多くなった。週末通いだったが、それを脱するために房総移住を真剣に考えるきっかけになった。長年通った地域には多くの知り合いもいたことが土地探しにとても有利だったと話す。たまたま売出したこのゴルコースのような景色に一目惚れだった。
家づくりは楽しくあるべきだ。Yさんがたくさんの工務店から資料を集めた中で、つるおか工務店の社長手書きのカラーコピーがひときわ目立ったのだと笑う。人間味のある社長のキャラクターと実際の素敵な家とのギャップを楽しみながら家づくりは進んでいった。
ふたりだけの暮らしはコンパクトだから住まいは最小限でいい。広いエントランスに隣接して大きな土間をつくったのはサーフボードやキャンプ用品スポーツ用品を収納できるから。そして海から戻って外シャワーを浴びてバスルームへ直行できるサーファー動線もテッパンだろう。大きなリビングと最小限の寝室、大きな屋根裏収納が有効だそうで、これだけの要素は南欧風輸入住宅の平屋でおさまった。
50歳代の家づくりは洗練されてくる。長い人生、趣味趣向は変わっていくのだけれど、おふたりは海への憧憬が心の奥で基礎となって極上のライフスタイルを楽しんでいる。もうすぐ初めての夏がくる。
INFORMATION
■敷地面積/422.84㎡ (127.91坪)
延床面積/140.30㎡ (31.5坪)
構造/ツーバイフォー木造平屋
間取り/1LDK
設計・施工/有限会社つるおか工務店
家族構成/2人
MATERIAL
外部仕上げ
屋根/スペイン瓦
外壁/塗壁
内部仕上げ
床材/パイン材
壁・天井/クロス
<取材協力>
有限会社つるおか工務店
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