
食欲の秋、読書の秋。今回は、食に関連するオススメ本を取り上げてみたい。7月に刊行された『チャーハンという迷宮』(著・石田かおる、NHK出版新書)だ。
チャーハンなら月2〜3回は食べているけど、いったい何が迷宮なのか?
本書によれば実は謎だらけの料理なのだという。まず、チャーハンの始まりがわからない。いつどのように日本に入って、これほどまで愛される料理になったのか。ひょんなことからチャーハン沼に足を踏み入れた著者が、「チャーハン探偵」のごとく謎を追っていく。
本書の面白さは何より、チャーハンを通して時代の変化が見えてくるところだ。明治に始まり大正のセレブを夢中にしたチャーハンから終戦直後の貴重なカロリー源としてのチャーハン、1億総グルメ時代のエンタメとしてのチャーハンへ。「チャーハンのすべて」が書かれていると言っても過言ではない。神田チャイナタウンの出現、浅草「来々軒」の繁盛、『きょうの料理』の70年、パラパラ論争、レシピの形式をめぐるバトル、などはほんの一例。膨大な調査結果を網羅しつつも、豊富な写真と軽妙な筆致で、テンポよく読める。
「私自身、チャーハンという乗り物に乗った時代探索という感覚で執筆しました。一緒に迷宮を彷徨っていただければ嬉しい」
と著者の石田さん。
読んでから食べるのもよし、食べてから読むのもよし。秋の夜長のお供にどうぞ。

序章 身近なのに、謎を秘めた料理
第1章 中国料理店「3つのエポック」~チャーハンと町中華の起源~
第2章 マスメディアの形成と“大正の中国料理ブーム”
第3章 「主婦」の誕生 ~1900年のハムライス~
第4章 『きょうの料理』と国民食になるチャーハン
第5章 「冷や飯論争」と「ピラフはチャーハンか?」問題
第6章 「男の料理」という呪縛 ~パラパラ論争としっとり派の逆襲~
第7章 なぜわざわざ料理をするのか? ~「炒めないチャーハン」の時代に~
終章 米と油と日本人
発売日:2026年07月10日
定価:1,210円(本体1,100円)
ページ数:320ページ(新書判)
問:NHK出版 https://www.nhk-book.co.jp/
著者プロフィール
石田かおる/記者、チャーハン・ヒストリアン。週刊誌『AERA』などを経て、2022年からフリー。「食」「教育」「ライフスタイル」の分野を多く手がける。2018年、『きょうの料理』の放送60年間のチャーハンについて、作り方の変遷を分析した記事を『AERA』に執筆。その摩訶不思議な世界を知ったことをきっかけに、チャーハンを通した歴史・時代探索にとらわれる。本書は、チャーハン沼にはまり生還した、4年間の探訪と探究の集大成である。







