海のそばで暮らす、海が身近にあることは素晴らしい。
ただ移住には実現したい大きな夢と確実な行動力が必要十分条件だ。
『いつか小さなリゾートを作りたい』
宇式さんご夫妻はそんな夢を携え、
人生の岐路をドラマティックにとらえながら
ポジティブに夢に向かって長い階段を登っている。
そんなおふたりのパワーに源は、ここ[葉山]にあった。
ふたりの夢
わたしたちは、単純に旅が好きで学生時代から、海外はオーストラリア、ハワイ、ヨーロッパ、国内では屋久島や能登半島、沖縄などいろんなところに行って、人、食べ物、心地よさを求め、いつかB&Bみたいな小さなリゾートができたらいいよねって話し合っていたんです。ブセナテラス、屋久島の送陽邸、西伊豆のかいとく丸などのいい宿を見て、自分たちでやりたくなったのです。
葉山は、藤沢や江ノ島で暮らしていた頃から大人の街、憧れの街でした。軽井沢から湘南に戻ってお店をやろうとなった時も葉山を選択しました。2007年、30歳頃のことです。「株式会社星野リゾート」がエコという当時ではとてもユニークなコンセプトを打ち出していて、妻はそれまで7年間商社にいたのですが、やり尽くした感もあったこともあって、「B&B」のことも「どんなプロセスで進めていたらそこにたどり着けるんだろう」と道筋が見えなくて、星野リゾートが「未経験者募集」という広告を出していたので応募したんです。
ぼくは車や船関係の会社にいたのですが、経営学を勉強しようと2年半、国内でオーストラリアのMBAを取得しました。星野リゾートからの連絡も偶然にもそのコースが終わった時だったので、説明会を聞きに行きました。
そんなドラマチックな運命を感じてふたりで軽井沢に行くことになりました。
当時の星野リゾートは勢いはあるけれどいろんな業界からの中途採用者が多く中間管理職がいない不安定な時代でしたが、顧客満足度を最優先としてリピート率が高いとてもユニークな会社で、スタッフも優秀で本当に刺激的でした。仕事も面白くて4年半くらい軽井沢事業所で現場の経験を積んだ後、異動希望がとおり東京オフィス勤務となります。
軽井沢でやれることの限界でした。そもそも軽井沢には「(海好きの僕たちにも)きっと山の良さがあるだろう」ということで行ったのですが、とてもいいところだけれど生活するにはちょっとだけ閉塞的なところがあったことも確かです。
その後も企業からのオッファーで蓼科、静岡、千葉などで宿泊施設の新規開業サポートをしてきました。
葉山ではまずは経済的基盤を作ってから宿泊施設を作るのがいいと考えてお店を始めました。この家もある雪の日にまだ櫓だけがあった状態の土地を見て、海と江ノ島、富士山が見えた瞬間、この土地に決めました。「まるで葉山に導かれたようでした」
B&Bにハワイのテイストを少し入れたい、存在感のある小さなリゾートをやれたらいい。星野リゾートで学んだノウハウを眠らせておくのももったいないということで、地元葉山の宿泊施設の運営のお手伝いをさせていただいたり、地元不動産会社と一緒に当時流行りはじめたAirbnbを使って宿泊施設の運営をやったりしました宿泊施設はお客様の命を預かるため、きちんとしたサービスが必要と考えています。
軽井沢から葉山へ
葉山と軽井沢はとても共通点があると移住してきた時から感じています。共に別荘地としての歴史もあり、皇族の保養地でもある点が物語っているのだと思います。また住んでいる人(別荘族)も共通していて、葉山と軽井沢に別荘を持つ人も沢山います。
葉山に来て2020年3月で8年です。もう葉山を離れたくないと思っています。街並みは道も細くてすごく田舎ですが、住んでいる人種がアーティストだったり自営だったり、感度の高い人たちが多いことでただの田舎町とは情報量やビジネスとの接点の多さが違います。
平日の昼間に30人くらいで釣りをして、そのあとBBQをやっている環境って他にはないものですね。国際的感覚を持った人も多いし、その感覚でフィッシュアンドチップスも引きがあったと思います。
海もあって山もある葉山は、土地自体が持っているパワーを感じます。どちらかといえば開けっぴろげで不思議な文化があります。
もともと島が好きでしたから、最近南の島の海沿いの土地が見つかったのですが、そこを見に行って確保しているんです。店もあるけれど、自分たちの身の丈にあったレベルで外に出て行こうと少しづつ(夢に向かって)シフトしています。それがいつか実ればいいなあと思っています。
移住を考えている人はお店にもたくさん来られます。海岸線よりも適度な海との距離感というのがいいとアドバイスさせていただいています。(笑)。
海沿いで暮らすというのはぼくらにとっても重要で、いつまでもキーポイントなることです。海の持っているパワーを感じ、毎日の通勤の中で海を見ることはオンとオフを切り替えられ、すごくリフレッシュできることですから。