澄みきって良く晴れた朝。青い空の下に響きわたる子どもたちの高い声。閑静な街、逗子の日常の光景の中にN邸があります。家と庭が一体となって「家庭」がうまれるといわれますが、住まいはさらに街と一体になって、美しく完成するようです。
よどみのない端正な顔つきの持ち主は、好感の持てる人物であるけれど、住まいにおいてもそれは同様かもしれない。N邸のこの端正なファサードはおそらく家そのものと、周囲をとりまく庭とのバランスのとれたハーモニーから作り出されるもの。
沖縄が大好きで頻繁に通うご夫婦は、サンゴの環礁をイメージしてエントランスをデザインしました。きれいに手入れされた芝生の一角には、シンボルツリーとして大きなやまぼうしを置き、木の外壁をまとった家を置き去りにすることなく、まるで寄りそうパートナーのように庭がその役割を果たしている。
N邸の設計施工を担当したキリガヤといえば、逗子のみならず湘南一帯での代表的なプレステージを持つホームビルダーですが、またそれは湘南の気候風土を知り尽くしているという意味でもこの地域では圧倒的なビルダーです。
さて、Nさんが、この住まいをつくるにあたって事前に整理して書き込んだ内容が残された[家づくりノート]を拝見させていただきました。
その一部を挙げてみると、
- 基本コンセプト=シンプルであること。
- 〜風はだめ、本物であること。
- できるだけ太陽の光と風を利用して快適暮らしたい。
- 生活の中心はリビングに。
- ランニングコストが安いこと などなど。
まさにこれは「湘南の暮らし」の条件そのものですよね。
Nさんが求めた「湘南の暮らし」を120%実現できそうだったことが決め手になったそう。振り返れば、シンプルに木が好きだった施主とは相思相愛の関係だったのですね。
さて、生活の中心をリビングと決めたN邸は、寝室などの居室はけっして大きくはなく、収納の多さと納戸を設けることに貢献しています。そしてなんといっても昼間も楽しく過ごしたいという希望を叶えたのはくだんの庭と一帯となれる縁側のようなデッキです。ここに腰をかければ、過ぎていく時間を忘れるそう。
「家と庭があってこそ家庭になる」とは、よく言ったものですね。
N邸を少し離れて眺めてみると、この住まいがいかにこの街にとけ込んでいるかがよくわかります。
住まいは街と一体になってこそ、美しいのですね。
❶多くの住宅は家ばかりに意識と資金計画が集中してしまい、庭の比重が軽くなりがちだ。このN邸のように当初からしっかりと庭にも気持ちを集めることでその完成度は雲泥の差となる。立派なスーツにはきれいに磨かれた革靴がふさわしいように。
❷リビングと一体となった縁側のようなウッドデッキ。冬は日だまりで過ごし、温かくなればBBQがはじまる。この笑顔は、湘南らしい暮らしの恩恵です。
❸ダイニングからリビングを通じて庭を眺める。四季を通じて快適なこの空間で過ごすのだから、あえて旅行に行くことも少なくなりそうと話されました。
❹3層のスキップフロアで構成されるN邸、その最上階にはロフトを併設したオープンルームがある。勾配天井のおかげで圧迫感がないからこうしてハンモックに揺られて過ごせます。
❺N邸にはエアコンを置いていない。夏には風がよく通り、冬には高い断熱性のおかげで快適に過ごせます。。
❻自転車も収納できる広い玄関。