『海は、住む場所じゃなくてもいい。暮らしの中に“海”があれば、人生はもっと自由になる』
Fine時代からのご縁がある、モデルのKOTA。10代の頃に湘南スナップで出会い、男性モデルとして30年以上キャリアを重ね、現在は東京でのモデルの仕事と、厚木での飲食・サロン経営を両立している。海の近くに住むのではなく、厚木を拠点に、湘南や千葉へ通うスタイル。そこには「自分のリズムで海と付き合う」という、大人の自由な暮らし方があった。モデルとして続けてきた覚悟、サーフィンがくれるリセットの時間、店づくりへの想い、そして年齢を重ねて変わってきた食や体への意識まで。KOTAの“今”をお届けします。

Fine時代、すべてが新鮮だった18歳
MAKO(以下同):KOTAとはFine時代からのご縁だよね。あの頃を振り返ると、どんな時代だった?
KOTA(以下同):すべてが新鮮だったよね。18歳の頃に初めてFineに出て、大磯とか湘南のスナップに参加して。当時は、スナップに出たい若い子たちとか、芸能関係を目指してる人たちもたくさんいて、すごく活気があった。今、僕は48歳なんだけど、振り返るともう30年くらい前の夏の記憶なんだよね。高校生の頃から、タイアップ撮影で東京に行ったり、事務所に通ったりして。18歳から21歳くらいまでのあの時期は、今の自分の原点だったと思う。
MAKO:あの頃のFineって、海もファッションも若者のエネルギーも勢いがあったよね。
KOTA:そうそう。今思うと、あの時代に出会った人とか経験って、今も自分の中にちゃんと残ってるんだよね。

30年以上モデルを続けてきて思うこと
MAKO:男性モデルとして30年以上続けてきたって、やっぱりすごいことだよね。今、改めて思うことってある?
KOTA:最初は俳優とか、お芝居の勉強もしてたんだよね。でもモデルを続ける中で、「ひとつのことを続けることに意味があるな」って思うようになった。正直、若い頃は30歳くらいでやめようと思ったこともあったよ。このまま食べていけるのかなとか、結婚もできないんじゃないかとか。25歳の頃に父が亡くなったこともあって、現実を突きつけられた時期もあったし。アルバイトをしながら、「こんなこと続けてていいのかな」って思ったこともある。でも、香港で仕事にトライしたことが、自分の人生を大きく変えてくれたんだよね。何かを賭けないで、何かを得ようとするのはあり得ない。本当に、最後の最後で逆転したような感覚があった。
MAKO:華やかに見える世界だけど、続けてきた人にしかわからない現実があるよね。
KOTA:モデルって、言葉を話さずに表現する仕事じゃない?写真の中で、どう見せるか。どう伝えるか。そこにずっと魅力を感じてきたんだと思う。もちろん悔しい思いもいっぱいあるよ。オーディションに受からなかったり、CMが決まらなかったり。若い頃は、活躍している先輩モデルたちを見て、自分の薄っぺらさを感じたこともあった。でも、そういう経験があったから、今の自分に奥行きが出てきたのかなって思う。
若い頃は“タレントっぽさ”、今は“自分にしかできない表現”
MAKO:若い頃と今で、仕事への向き合い方って変わった?
KOTA:変わったね。若い頃は、どこかタレントっぽい感じを目指してたかもしれない。でも今は、「自分にしかできないモデルであればいい」って思ってる。年齢を重ねることで、経験値とか厚みが出てくるじゃない?若い頃にはできなかった表現が、今はできるようになってる気がする。女性誌の撮影でも、女性が主役だったりするでしょ。その中で、自分がどう目立つかよりも、女の子の最高の笑顔をどう引き出すかを意識してた。そういうことも、モデルとして大事な表現だと思うんだよね。
MAKO:それ、すごくいいね。自分が前に出るだけじゃなくて、相手の魅力を引き出す。まさに大人のモデルの在り方って感じ。

厚木で店を営む理由
MAKO:今は東京でモデルの仕事をしながら、厚木でお店もやってるよね。日々はどんなリズムなの?
KOTA:厚木でヘアサロンと飲食をやって、もう10年くらいになるかな。モデルをしながら店をやってる人って、当時あまりいなかったんだよ。だから「モデルだってできるよ」っていうのを、自分でやってみたかった。もちろん、楽しいことばかりじゃないよ。目まぐるしく変わっていくし、苦しいこともある。人を雇って、うまくいかないこともあったし、裏切られたように感じることもあった。でも、続けていると、仕事も店も少しずつ良くなっていくんだよね。人が評価してくれるようになる。そこが面白い。
MAKO:KOTAは、なんで厚木を拠点にしているの?
KOTA:地元が好きなんだよね。僕は秦野の方だから、厚木は昔からのプレイスポットだった。Fineの頃の厚木って、すごく栄えてたんだよ。街に勢いがあって、チーマー文化みたいなものもあって。厚木、町田、横浜……あのあたりの若者文化がすごかった。今は街の雰囲気も変わって、ベッドタウンっぽくなっている部分もある。でも、だからこそ、東京に行かなくてもクオリティの高い店があるっていうことをやりたかったんだよね。
MAKO:地元を別の形で盛り上げたいっていう気持ちもあるんだね。
KOTA:そうだね。自分が育ってきた場所だから、そこに何かを返していきたい気持ちはある。
海の近くに住まなくても、海のある暮らしはできる
MAKO:海の近くに住むんじゃなくて、湘南や千葉へ通うスタイル。そこにはどんな良さがある?
KOTA:大磯とか平塚までは30分くらいで行けるんだよ。僕は地元が好きだから、無理に海のそばへ引っ越すというより、今の場所を拠点に海へ通うのが自分には合ってるんだと思う。
MAKO:よく行く海はどのあたり? 湘南、西湘、千葉、それぞれ魅力が違うよね。
KOTA:鎌倉、辻堂、大磯、平塚、千葉にも行くよ。ポイントによってカルチャーが全然違うんだよね。大磯や平塚はローカリズムが強くて、海に厳しく育てられた感じがある。でも、その厳しさの中で教えてもらったことも多いし、鍛えられたよね。湘南は、陸のカルチャーも敏感でおしゃれ。千葉は、仕事で関わっていた人や友達も多くて、どこかの海に行けば誰かに会える。波があって、友達に会える。それだけで十分楽しいんだよね。
サーフィンは、リセットであり、浄化であり、瞑想
MAKO:サーフィンは、KOTAにとってどんな時間?
KOTA:リセットだね。浄化でもあるし、メディテーションでもある。海に入ると、頭の中がフラットになるんだよ。
MAKO:ゴルフもしてるけど、サーフィンとは違う?
KOTA:正直、サーフィンの方が100倍楽しい(笑)。こんなに難しいスポーツはないし、こんなに気持ちいいスポーツもない。ゴルフは作られた自然の中で楽しむスポーツ。サーフィンは、そのままの自然を相手にする。そこが全然違うんだよね。
MAKO:自然の中で、自分の思い通りにならないものと向き合う感じだよね。
KOTA:そう。だから飽きないんだよ。
店づくりは、カルチャーをつくること
MAKO:飲食を始めたきっかけって何だったの?
KOTA:もともとはヘアサロンをやりたかったんだ。でも、人と違うことがしたかった。ただ髪を切る場所じゃなくて、カルチャーを感じられる場所にしたかった。
MAKO:お店では、どんな空間づくりを大切にしてる?
KOTA:飲食のスペースは東海岸のイメージで、ヘアサロンは西海岸っていうテーマで作ったんだよ。以前の店は、もっとギャラリーっぽく、アートや写真が映えるような無機質な空間だった。その時々の自分の感覚で、店の表情も変わっていくんだよね。
40代後半から変わった、食と体への意識
MAKO:年齢を重ねる中で、食への意識って変わった?
KOTA:変わったね。コロナ前くらいから、体調を整えることをすごく意識するようになった。腸活もそうだし、スムージーも飲むようになったよ。バナナ、にんじん、小松菜、ヨーグルト、アーモンドミルク、いちご、オレンジ、そこにスーパーフードを何種類か入れたり。お腹が空いたら飲む。すると空腹が満たされるし、血糖コントロールにもなる感じがする。ただ、やりすぎると痩せちゃうんだよね(笑)。体が飢餓状態みたいになってしまう。だから、栄養素は大事だけど、体が退化しないように補うことも大切だと思ってる。
MAKO:飲食のお客様を見ていて、健康志向とか、グルテンフリー、米粉メニューへの関心って感じる?
KOTA:感じるよ。でも、僕自身はビーガンになるつもりもないし、白いお米も好き。我慢してダイエットするのは違うと思ってて。豊かさって何ですか、っていう話だと思うんだよね。体にいいことも大事だけど、おいしい、楽しい、幸せを感じることも同じくらい大事だよね。
玄米米粉に感じる可能性
MAKO:今、千葉・一宮町の自然栽培米から作った玄米米粉で、クレープやお菓子を試作してるんだけど、飲食メニューとして可能性は感じる?
KOTA:感じるよ。オーガニックがすべてだとは思わないけど、安心できる素材とか、体に負担の少ないものへの関心は高まってると思う。化粧品もそうだよね。ケミカルが全部悪いわけじゃないけど、自分が何を選ぶかを考える人は増えている。食も同じだと思うんだよね。
MAKO:もし玄米米粉を出すとしたら、甘い系、食事系、どんなメニューがKOTAのお店に合いそう?
KOTA:タコスっぽいものは合いそうだよね。ジャパニーズタコスみたいな感じ。もちろんスイーツ系もいいと思う。
MAKO:玄米米粉の香ばしさって、甘いものにも食事系にも合うから、ぜひビーチツリーでメニューにしてもらいたいなw。
50代、60代も、好きな仕事と遊びをつなげていく
MAKO:これからの50代、60代は、どんなふうに楽しんでいきたい?
KOTA:変わらず、好きな仕事をやっていきたいね。遊びを仕事にしていくというか、仕事も遊びももっと楽しんでいきたい。先輩たちを見ていると、まだまだ楽しめるんだろうなって思う。これからは、もっとグローバルにもやっていきたいし、日本の食を海外に広めていくことにも興味があるよ。
MAKO:KOTAらしいね。モデル、店、海、食、全部が自然につながっている感じがする。日本の食文化を世界に広めていくってもしかしたら一緒に取り組めそうじゃない?w。
BY THE SEA読者へ。海のある暮らしとは?
MAKO:最後に、BY THE SEA読者に向けて。海のある暮らし、自分らしい暮らしの魅力を伝えるなら?
KOTA:海辺に住むことだけが、海のある暮らしじゃないと思う。生活の中に海を入れられれば、それでいいんじゃないかな。海がいつも自分に寄り添っている。サーフィンでも、釣りでも、ただ海を眺めるだけでもいい。海には、飽きさせない魅力があるよね。海に対して怖いと思っていると、不自由になる。サーフィンにはルールがあるけど、その中でどれだけ自由になれるか。海をどう楽しめるか。そこが面白いんだと思う。海に入るとフラットになる。波に乗る。滑る。その感覚は、経験した人にしかわからないものがある。でも、海のある暮らしは、年齢に関係なく始められると思うんだよね。
MAKO:60歳からでも、全然遅くないと思う。
KOTA(諸橋幸太):モデル/男性美容家/BEACH TREEオーナー
10代の頃より『Fine』をはじめ、雑誌や広告、CMなどでモデルとして活動。男性モデルとして30年以上のキャリアを重ねる一方、2015年に厚木でヘアサロン&飲食を併設したライフスタイルショップ「BEACH TREE」をスタート。東京でのモデルの仕事、厚木での店づくり、湘南や千葉の海へ通うサーフィンライフを、自分らしいリズムで続けている。

MAKO:編集者/クリエイティブディレクター
20代よりファッション誌の編集に携わり、『Fine』編集部を経て、『BLENDA』創刊編集長、『GLITTER』創刊などを手がける。現在は千葉の海辺に暮らしながら、『By the Sea』でのコラム執筆、外房移住コーディネーター・ライフスタイル・食にまつわる企画制作、動画・SNSコンテンツ制作など幅広く活動。自然と調和する海辺の暮らしを軸に、玄米米粉プロジェクトやドライフラワー、書道、食の発信など、暮らしの中にある豊かさを編集者ならではの視点で伝えている。







