湘南のなかでも閑静な住宅街、鵠沼。SE構法による躯体の安全性、そして太陽光や風などの自然エネルギーを最大限に取り入れるパッシブデザイン。そう、湘南らしくのびのびと、暮らしにストレスのない住まいこそ、鵠沼にふさわしい。
施主のAさんご家族は東京都内からの移住だが、奥様のご実家が鵠沼にあるとお聞きして、湘南の暮らし方をすでに充分に体感されていたのだと納得。
燦々と照りつける太陽と海。湘南江ノ島の西側、海に面した広いエリアが鵠沼。まさに湘南を象徴する閑静な街並だ。そんな穏やかな街の一角にA邸は完成した。街の景観を損なうことのないアースカラーとポイントの効いた木肌が松林の多いこの街並にとても良く似合う。
A邸の大きな特長はビルトインガレージからステップイン可能な贅沢なレイアウトと階上にもスキップフロアを利用したアクセントのある間取り。特に2階のリビングダイニングは勾配天井を利用したダイナミックな空間をつくりだしている。
木造建築ににもかかわらずこうしたレイアウトを可能にしたのは、間違いなく耐震SE構法によるものだ。強度の高い集成材の接合部に、独自の金物を用いる構法は、強固な接合部を生み出し、柱と梁のみで揺るぎない強度の骨組みを生み出すことができ、まさに家そのものが大黒柱のような「重量木骨の家」である。
SE構法によるもうひとつの大きなメリットは、耐震性を保ちながら柱や区画の壁を少なくでき、採光のための大きな開口部や窓、出入り口を安全に確保できること。冬には湘南ならではの強い日差しをたっぷりと取り入れ、高い断熱性で自然エネルギーを蓄えるパッシブな暮らし方を可能にしている。
1階には主賓室をメインとした居室の空間。リビングのある2階からはロフトに続くスキップフロア。また階段下など、可能なかぎり収納を確保できることですっきりと家財を整理できた。
「いい家」とはどんな定義だろうか? 周囲の環境になじみ、強く安全で、ストレスのない日々の暮らしを提供する住まい、究極はこうした条件をすべからく満たしている家。A邸はまさにその一つだ。
DATA
敷地面積/172.00㎡(52.03坪)
延床面積/136.91㎡(41.41坪)
1階/68.73㎡(20.79坪)
2階/68.18㎡(20.62坪)
用途地域/第一種低層住居専用地域
構造/木造2階建て
間取り/3SLDK+ロフト×2
設計/株式会社キリガヤスタイル
施工/株式会社キリガヤスタイル
家族構成/3人(子供1人)
MATERIAL
●外部仕上げ
屋根/鋼板瓦屋根-D’sルーフィング クラシックタイル
外壁/通気ラスモルタル-ジョリパット・リシン吹付仕上げ
主要内部仕上げ
床材/無垢レッドパインAグレード 20mm
壁/エッグウォール
天井/エッグウォール・パイン羽目板
(取材:2013年)