こ最近の鎌倉事情について聞かれると、鎌倉の通りについて話をしたくなります。多くの都市と同様、まちは変化を繰り返します。その変化の中で地元の遊び心的な感覚が、ファッションとして文化的に見えるのが、鎌倉の秘めたる魅力なのではないでしょうか。
ニューヨークではSOHOからはじまり、チェルシー、トライベッカ、ハーレムと高騰する人気エリアから追い出されるように、若いアーティストたちが次なるエリアを開拓してきました。渋谷でもキャットストリートや代官山にアパレル店舗が増えたように。
鎌倉では観光地として有名な小町通りではなく、線路の反対側にある「今小路」に注目したいと思います。蔵を改装した設計事務所があり、はちみつ屋さん、そして現在は店を移しているがコンフィチュールを扱う店舗がこの通りに人を連れてきた鍵となりました。
今小路が発展を遂げると、次なる通りは「由比ガ浜大通り」。長谷観音から六地蔵あたりに位置し、江ノ電と並行するこの通りは古くから名店が並び、現在はカレー激戦区の様相を呈しています。この由比ガ浜大通りから、地元の人に向けた店舗づくりが、鎌倉の魅せ方のトレンドになってきました。地元の人が通う店という雰囲気が気取らない内装にもあらわれはじめ、この地元感はより研ぎ澄まされて、由比ガ浜大通りから「大町通り(大町大路)」へ展開しています。
そんな中、私が注目しているのは道の名前を知らない、材木座一丁目あたりを南北に位置する臨海学園バス停、上河原バス停を通る道です。この通りの特徴は上記の「由比ガ浜大通り」に火が着く前からすでに、地元の人たちによってゆっくり、じっくりと温められてきている点が独特です。
この地元発進の魅力にカッコ良さを感じている人たちが集まりはじめていて、心地よい円熟さが漂っています。今後もこの通りに目が離せないが、その前に通りの名を知りたいのです。
リポート◎小松 啓さん
鎌倉・湘南エリアを独自の視点で不動産を発掘、提案する「鎌倉R不動産」代表取締役
https://www.realkamakuraestate.jp