オリンピックイヤー2020年に向けて土地価格が高騰する東京。いっぽうで、東京でのスイッチをオフに変える「湘南」は、ナチュラル&リラックスというイメージが定着して、ますますブランド化されています。さてその2018年の実情と予測を、湘南の暮らし方を隅々まで知る鎌倉R不動産、小松代表にお聞きしました。
取材協力・お話◎鎌倉R不動産代表 小松啓さん
移住ブームの中で、湘南移住は相変わらず人気ですか?
『湘南移住はまだまだ「移住の0.5歩目」という感覚』
最近の変化としては、湘南の東西端っこの地域、二宮、三浦などに行く方が、ずいぶん増えたと思います。いわゆる移住というのは、東京を切り離して考えるので、仕事も変わり、地元に入って溶け込んでいく。ライフスタイルすべてを移して暮らしていくものです。東京とのつながりといえばネット環境だけになります。こうした全国的な移住ブームがある中、湘南移住というのは東京を中心とした生活には変わりはなく、東京に通うライフスタイルは維持されていています。ですから湘南移住は「移住の0.5歩目」という感じです。一旦湘南に移ってきて、東京との関係がさらに薄くなっていくと、鎌倉あたりだと物価も相当高く感じるので、さらに大磯より西、湯河原、静岡、熱海、三浦の方に移っていくことになるのでしょうね。
子育てや通勤など、住みやすさに変化は?
『住みやすさは、高い住民の意識でどんどん良い傾向に』
車の移動は圏央道のおかげでとても便利になりました。134号も整備が進んでいます。子育ての環境は、行政規模の大きいところ(人口が多い)、藤沢、茅ヶ崎、平塚あたりは行政サービスが良いとされています。一方で鎌倉、逗子、葉山は行政規模が小さくなっているのでサービスもそれなりです。しかし、海や山に近い逗子や葉山では、行政だけに頼らず、自然の中で子供たちを遊ばせる個性的な保育園を増やそうという動きが住民側から出ているようで、これらは今後も注目されることでしょう。
知っておきたい、湘南の土地相場セオリーを教えてください。
『賃貸で近くに住んでおくことは、家探しの感度を磨くことにも』
わかりやすく言えば、海が見える、もしくは海の目の前は、みなさんのご想像以上に”高い”です。そして相場がない。つまり欲しい時に欲しいものがあるかどうかタイミング次第です。また、よくあるケースですが、湘南で素敵に暮らすイメージは、広い庭があって、小さくて平屋のような、、、。これはじつは非常にレベルの高いリクエストなのです。家と庭があるけれど、駐車スペースがないという物件はあります。つまり庭、駐車場、どれかの条件を外すということ。実際、駐車場を持たないということはいい物件に当たるコツになります。近隣の駐車場を借りて停めるなら、こうした問題はけっこう解決してしまいます。虎視眈々といい物件を狙うという意味では、賃貸でもいいので、近くに住んでおくということがオススメです。なぜかというと、良い物件が出ましたよという私たちからのお知らせに対して、すぐに見に行けるのはとても有利で、そのための感度を磨くことにもなります。ご自分の中で一番譲りたくないものはなにか? 外せる条件はあるのか、それがある程度明確になっていけば素早い決断もできます。
R不動産を訪ねてくるお客様に変化はありますか。
子供を自然の中で育てたいという子育て願望は、旦那さんの通勤の条件を超えて多くなりました。でも通勤が辛すぎて東京に戻るという人は、意外に少ないです。別荘として設けたけれど、忙しすぎてあまり来れないというケースは多々ありますが。また自分の生活環境を自然に近づけたい、なんとなく地元で面白そうな人がいる、文化度を感じたいという人たちが多く、知り合いが住んでいたから移ってきたという方も増えていると感じます。また、移住のあと、さらになるべく東京に行かない方法を考えはじめる人も多く、自分で野菜を作ってみたいとか、そんな思いが高まってくると、いよいよ三浦方面へ移動することになるようです。0.5歩から、いよいよ本格的移住の一歩目です。
*次回に続きます