名建築や素敵なお店は数多ある鎌倉。今号では、そのなかでもちょっと渋すぎる? でもたまらなく心惹かれてしまう建築(的な遺跡も)をご紹介します。
◆古墳好きも虜になる、鎌倉山のモダニズム建築 ink gallery

アントニン・レーモンドの弟子、吉村順三設計の「鎌倉山の家」が、アパレルブランドYAECA服部哲弘氏の所有×建築家・中村好文氏の手に掛かるといえば、素敵にならないはずがない。この空間の特徴は「斜面地を活かした、庭園と一体化した建築」。アプローチから見ると1階に当たるギャラリースペースは、実は芝生庭園の下に埋め込まれている自然採光の地下室―まるで古墳の石室のよう?芝生の中に配されている3つの石は三尊石か?古墳や遺跡が好きな方も必見。 展示期間中のみ公開。
◆大町の秘めたパワースポット 釈迦堂切通

遺跡は勿論のこと、作業の痕跡が残る産業遺跡って何故か神秘的。鎌倉には山や岩を切り開いて造った「切通」が多数あるが、釈迦堂切通は巨大な岩をくりぬいた形状が特にダイナミック。洞門の内壁には幾つかのやぐらがみられ、釈迦堂口遺跡群としてカウントするとなんと64基のやぐらがあるとか。長く通行止めになっていたが、崩落対策工事を経て2026年度には通行再開予定(鎌倉市HPより)とのことなので、開通したら即ハイキングがてらパワーをもらいに出かけたい。
◆雪の下で客人気分を味わって 旧大佛次郎茶亭

大佛次郎は作家としてだけでなく、鎌倉の自然を開発から守るためのナショナルトラスト運動の立役者としても知られる。もてなしの場として使われていた茶亭は、そこに宿る気配を損なわないように伝統的な工法や当時の材料で修繕。茅葺屋根の葺替えでは、屋根のてっぺんに土を盛り植物の根っこの力で屋根を固定する「芝棟」を採用したので、屋根の上にはなんとアヤメの球根が植えられている。春に屋根から花が咲き誇る風景は必見!老舗和菓子店「美鈴」の上生菓子をいただきながら、客人になったつもりで。
◆「私の家って、名建築なんだ」 片瀬ロジュマン

神奈川県立近代美術館(通称「カマキン」)を設計したのはル・コルビュジエの弟子、坂倉準三氏。実は片瀬江ノ島には坂倉建築研究所設計のビンテージマンションがある。フランス語で「邸宅」を意味するマンション名も、師匠の地・フランスとの縁に由来しているとか。134号線からも望むことができるファサードは、コルビュジェ発案の寸法体系「モデュロール」に則った美しいグリッドデザイン。このマンションの一室、なんと現在販売中(2025年7月上旬現在)。モダニズム家具を揃えて、海辺に住んだらここはニース?
お問合せ・内見予約はココハウス(info@coco-h.com)まで。
小川友紀プロフィール
1980年生まれ。アトリエ系設計事務所に勤務ののち、モヤデザイン一級建築士事務所を設立。住宅や店舗などの設計を手掛ける。2024年からは鎌倉COCO-HOUSEに参画し物件探しの段階から設計目線でアドバイスしつつ、不動産業の見習い中。ピラティスを続けていたら人生最高を記録し現在身長168cm。夫と子供の3人暮らし。実家は信州戸隠、海と山を行き来する生活が今はちょうどいい。



