電車利用者が湘南エリア最大のJR大船駅。そのそばを流れる柏尾川は大船観音とともに土地のアイコンだ。ゆったりとした河川を望める山側にH邸はある。背後に小山を抱えた広い敷地は街の喧騒を忘れるかのようにのどかな雰囲気。奥様はこの地を生家として生まれ育ったと話す。
ご夫妻は直前まで東京・お台場のタワーマンションで暮らした。2021年の東京五輪、パラリンピックのイベントを直下に臨める典型的な東京ライフだった。
その歴史的なイベントが終わり自分たちの住まいを考えた時、まだ自然が残る生家の敷地が候補となった。こうして雑木林の一部を刈り生まれ育った場所に帰ってきたというわけだ。
初夏の青空に映える白い外観。エントランスのレンガ調の壁がアクセントとなって訪れる者に室内への期待を抱かせる。
ドアを開くと大きなはめ殺しのガラス窓の向こうに背後の山の緑が目に飛び込んでくる。木の温かみと凛とした空気感がここで見事に融合するかのように。
室内の壁、天井ですべて漆喰を採用したことで、無垢の床材とともに自然素材の優しい感触を体感することができる。印象的だったエントランスの次には大きな吹き抜けのあるリビングが出迎える。一段下がったダウンフロアと大きな天然素材の壁面が強烈なインパクトを生んでいる。
2階への階段を上がるとまず多目的空間がある。裏山の雑木林を眺めるには最適な高さで、夜には小さなホームバーがオープンするらしい。
ご主人は「木の家が好きですからとても満足しています」と話す。
たっての希望で窓を大きくしたことによって、「梅雨の時期も明るくサラサラとして過ごしやすく寝転がりたいほどの心地よさを感じます」。
「東京にいた頃は自然を求めて旅を繰り返していました。今では自宅の方がより快適で、この家が好きすぎて休日でも外出はしません」
奥様は続ける。
「木や漆喰をふんだんに活用したことで、すべてが天然であることがなによりも嬉しい」と話します。
湘南の注文住宅は木と自然素材を活用することがもっとも自然なのかもしれない。
INFORMATION
神奈川県横浜市H様邸
敷地面積/295.41㎡(89.36坪)
延床面積/109.87㎡(33.24坪)
構造 /木造2階建
間取り /2LDK
設計・施工/株式会社キリガヤ
MATERIAL
●外部仕上げ
屋根/ガルバリウム鋼板 (立平ロック)
外壁/ジョリパット
● 主要内部仕上げ
床材/
壁 /天然スタイル土壁
天井/天然スタイル土壁 、ヘムロック羽目板張
BUILDERS NOTE
H様ご自身のお好みや方向性をしっかりと受け止め、デザインと素材選びに取り組みました。玄関正面のFIX窓越しに新緑の木々が出迎え、リビングでは開放的な吹き抜け部分に大きな窓と天井の板張り、極めつけは存在感のあるウッドボーダーの壁。初めてこの家を訪れるお客様が感嘆の声を放つ様子が目に浮かびます。一息ついたあとはダウンフアローを腰掛けがわりにくつろげるお洒落で楽しいリビングで過ごすひと時。お引渡しから早半年、綺麗に住まうお二人のご様子に感謝、そして感激しました。