御用邸のある葉山町には、たおやかな時間が流れている。たしかに交通の便は不自由だけれど、この町を愛する人たち、その暮らしを追いかけるように移り住む人も後を絶たない。菅野さんご家族もその一例だ。今、次世代のファミリー層がこの町に増え続けているように見える。
とても良い天候に恵まれた撮影日。
初夏の晴れ間は一年の中でもとても快適な時期だ。そんな午後、葉山の町のあちこちから子供達の声が響き渡る。学校が終わって下校の時間なんだろう。
御用邸のある葉山町は、海と山の自然に囲まれた素晴らしく美しい街。だけどその環境と引き換えに交通の不便さはやるかたない。そんなちょっとマイナスな条件にもかかわらず、葉山町に移住する若い世帯も実は意外と目にする。
こんなにたくさん子供達がいただろうか?
菅野さんご家族は昨年8月川崎のマンションから葉山へ移り住んだ。
ご主人は市民の安全を守ることを使命にした公務員。夜勤もある不規則な勤務体制だが一方で自由さもあるお仕事だそう。葉山を選択されたのは仕事場の先輩が逗子に移住してその素晴らしさを伝えてもらったからだ。職場の先輩は一足先に逗子に移住、株式会社「キリガヤ」で建てた家で充実した日々を過ごしている、
「木の香りと四季を感じられる、木の家に住みたかったんです。広いリビングと庭があることも大切な条件でした」
下校してきた二人の男の子兄弟は、木の家が大好きなんだろう。ランドセルを放れば無垢のパイン材の床でゴロゴロ、まるで砂浜を転がるような賑やかさだ。
「畳のコーナーもとても快適です。何より縁側でビールが飲めるのは最高です」とご主人。
見渡せば、この家にはテレビがない。
「実家の福島よりも静かです」と奥様。
家族が自然溢れた環境の中で、木の家に住む。自然から得た食事をとり、健康的な暮らしをする。家族の会話と笑いが絶えない。菅野さんご家族が「湘南」に求めたものはそんな本来ある「家族のカタチ」だったに違いない。
決して大きくはないけれど、ご家族の幸せが詰まった家が、今葉山町に増えている。