古くからある、海が見渡せる丘の上の住宅地。美しい海岸線や江ノ島、さらに茅ヶ崎の烏帽子岩までも一望できる特別な場所には、夏には南風が、冬には乾いた北西風が届きます。海もある湘南。近すぎず遠からずの海との程度な距離感が心地いい住まいをご紹介しましょう。
高低差のある敷地特性を利用したスキップフロアのK邸は、堅牢なRC構造の上にポンと置かれたような佇まい。実は国産唐松を縦サイディングで貼った外観にはとても希少な価値があり、国産材に取り組む湘南ハウスビルダーの果敢な挑戦でもあるのです。
❶高低差のある土地の特性を活かしてリビングダイニングを2階に配し、勾配天井を利用して大きな空間としました。施主が丹念に探し当てた土地だけに、ここからは富士山の優雅な姿だけでなく江ノ島や烏帽子岩、湘南の美しい海岸線や湘南ライフタウンまでも一望でき、家族にとっても一日の多くを共に過ごす特別な場所となっています。
❷スキップフロアの中2階に設けた和室はゲスト用として、またお子様の絵画のためのギャラリースペースとして利用されています。
❸ファイヤーキング等のマグカップの収集も多くキッチンまわりの収納もフロア全体の雰囲気を保つための大切な鍵。キッチン背の棚を圧迫感のない半扉としたり、細かな配慮が。勾配天井の米杉と白基調のキッチンとのコンビネーションが美しい。
❹RC構造によるガレージはご主人の趣味のスペース、男の小部屋ですね。
❺施主のK様ご家族は12年間の米国生活の後ご帰国された。家具やインテリアの多くはアメリカから持ち帰ってきたもの。リビングからステップダウンするダイニングにはアメリカンニューモダンで統一感を演出。こうした施主のライフスタイルや趣味趣向を充分にヒヤリングして具現化した建築家が作り上げた家は明らかに完成度が違います。
❻2階リビングまでの大きな吹き抜けとしたエントランスからは、スキップフロアで各階に通じる。随所に収納や飾り棚で設けて有効利用しています。
❼木の外壁といえばこれまでは米杉などの輸入木材に限定されていましたが、信州(長野県)産の国産唐松を縦サイディングで貼った外観はとても希少で価値があるのです。国産材に取り組む果敢な挑戦です。湘南の気候風土、街並に馴染む意匠は建築家の洞察力。バウムスタンフが手がけた、両者の見事なハーモニーが施主の期待に十二分に答えたと言えます。