ラジオやイベントMCなどで活躍する堀内尚子さん。この春「鎌倉生活」をはじめました。1年余りをかけて、海の近くの気持ちのいい高台に素敵なおうちができあがりました。幼少時代から海外生活を経験し、帰国後も全国各地で暮らしてこられた堀内さんとご家族。そんな新居にお邪魔してお話をうかがってみました。
取材◎藤原靖久 撮影◎山本倫子 取材協力◎株式会社バウムスタンフ
私は父の仕事の都合で幼少時期をベルギーとフランスで過ごしてきました。ヨーロッパは美しい街並みでしたが、当時アジア人はとても珍しい存在で、ましてや「子供」が歩いていたらとても珍しそうに見られていた記憶があります。陸続きであることから、同じ国のような感覚にもなるのですが、助手席でパスポートを「ひょい」と表紙を見せただけで、国境を越えられたり、たくさんの国の人たちに出会える生活でした。
小さな町でもそれぞれのアイデンティティがしっかりしていて、同じ景色はありませんでした。寒いさむい冬のクリスマスは、カテドラルの鐘の音と聖歌隊の声だけが響く日で、静かで美しく、逆にお正月はお祭り騒ぎ。日本とは正反対のことだらけでしたが、しっかりと季節の行事を心から大切にしている印象です。
当時はチェルノブイリ原発が爆発した後で、湾岸戦争中で情勢は非常に悪いものでした。各国にあるインターナショナルスクールにはアメリカから出兵してきた軍の家族が一気に押し寄せ、友達が倍増した記憶もあります。その米軍の家族を狙って小学校に爆弾を仕掛けられるなど、危険なことも多々あり、幾度となく戦争が身近に感じた経験もありました。泥棒にも入られたこともありました! そんなことから、「安全な住処」がとても大切だと思い、日本に帰国した時はこの異常とも思える平和に違和感と驚きを覚えました。だってレストランで席にバッグを置きっぱなしでも大丈夫だなんて!!(笑) 日本はとにかく安全で平和できちんとルールを守る、素晴らしい国だと思ったものです。
今年の春から鎌倉生活をはじめました。湘南生活(住んでいたのは茅ヶ崎)は以前も経験していたので、初めてという感覚はありません。鎌倉はまったく違う場所でした。一言で言えば、鵠沼〜茅ヶ崎はカリフォルニア。鎌倉はハワイのような空気の流れを感じています。のんびりしていますね。この前は九十九里に住んでいたので、あそこののんびり感は完全にノースショアでしたね。
そんな鎌倉にはたくさんの自然があって、千葉生活で愛していた緑がとてもたくさんあることが嬉しいです! 海だけでなく、山もあり、鳥たちの鳴き声、季節の花々が肌で感じられる場所です。これからはそんな小さな大自然を探して行きたいなと思っています。
そして、鎌倉だけでなく湘南はヘルシーで、ものすごい効果が期待されるマッサージなど意識の高いお店がたくさん! そんなお店が普段の生活に当たり前のようにあるなんてこんな幸せなことはない! 心と体が喜ぶ場所をたくさん見つけてインスタグラムで発信していけたらと思います。ライフスタイルとしては昔と変わらず、サーフィンと健康な食事とGood Vibesを大切にして行きたいですね!
家づくりについては、じつはそこまでのこだわりはなかったのです。今まで賃貸ばかりに住んできたので、どんなおうちも愛おしく思いっていました。そんな中でも唯一こだわったのがキッチンと玄関とクローゼットです。キッチンは母の城であります。ここで生活しているようなものなので、見た目も機能も心地の良い場所になるようこだわりました。キッチン台の高さ、足元のタイル、収納、広さ。「ガス」にこだわること。窓の外の景色を眺めながらお料理できる幸せは未経験でした。といっても、お料理の腕前は変わりません。
そして玄関へのこだわりもありました。私自身がカリフォルニアの建築物が大好きで、渡米するときにはいつもいろいろ調べていました。その中で一番惹かれたのがパームスプリングスの家でよく見られる「カラフルなドア」です。乾いた空気が魅せる濃い青い空、椰子の木、窓の大きい真白なミッドセンチュリーの家。そして鮮やかな色のドア。それを真似して、大好きなティファニーブルーのカラーにしてもらいました。本当はもっと濃く塗りたかったですが、木が呼吸できるように薄めにしています。
続いては玄関の足元。ブルーストーリーはまだ終わりません。ドアを開けて、飛び込んでくる外の景色と共に足元のブルーのタイル。スケートボードの世界ではよく使われる「プールコーピング」というワード。これもカリフォルニアのスケートカルチャーから拝借し、豪邸にあるプールの上の部分がタイルでできていて、渇水時期のプール禁止令が出た時に水を抜いて、そこでスケートを滑るようになったことから生まれたワードです。旦那も息子もスケートボードが大好きなので彼らが喜んでもらえたら嬉しいな、と思ってアイディアを出しました。玄関のブルーストーリーは海好きな私たちがおもてなしをするとき、お客様に海のイルカのように爽やかな気持ちになってもらえるように、という願いも込めました。シューズクローゼットにも張り巡らされていて、本当に大好きな部分です。
そして家族全員の衣類を1つのウォークインクローゼットにと、衣類が占領するスペースは結構あります。母親が家族のためにあちこちの部屋に行って服を戻すのも大変。そこで決められたスペースしかないところを用意すると、無駄買いをすることもなく、片付けやすく、また服もシェアできて経済的! これから10年かけて、シンプルライフを完成させるべく、「私たちに本当に必要なもの」を目でしっかり見て実現させるために、「しっかり見えるクローゼット」を作りました。
あとは乾太くんを置いた洗濯スペース!洗濯物のストレスは半端なく、振り回される毎日でした。それが乾太くんを使うようになってからストレスがなくなり、1日が長く感じられるようになりました。洗濯機と乾太くんが収納されているドアも、玄関のドアと同じにすることで一体感が生まれ、洗濯機=邪魔という概念がなくなりました!
人は海から生まれ、海に帰って行きます。湘南は人間が住む上で必要な物が揃っているところです。海、おしゃれなお店、素晴らしい教育が受けられる場所、美味しい野菜、神社、大自然・・・ 電車で都内まですぐ、車で丹沢まですぐ・・・と「飽きることのない人生を送れる場所」「新しい自分を見つけられる場所」だと思っています。
今ある現実は自分が作り上げてきています。これからの現実も自分が作り上げることができます。「自分のために」人生を生きてほしい。湘南は、自分勝手に生きることを許してくれる場所なのです。
BUILDER’S NOTE
鎌倉でも有名な海岸沿いの抜け道 蛇坂に面するN邸。海からの香りも届くこの高台は北側の山を望める傾斜地に位置しています。北側の遠景を借景として取り込み、南からはたっぷりと日差しを取り入れる傾斜地を利用した断面計画としました。お客様の希望でもあるカリフォルニのような開放的な暮らしを形にしました。外部にはこれからの湘南の木張りのスタンダードとも言える信州カラマツ材を採用し、日本の森の活性を促す家づくりをここ湘南から発信しています。(海辺の工務店バウムスタンフ)
神奈川県葉山町 N邸
■敷地面積/361.10㎡(109.42坪)
延床面積/ 119.24㎡(36.13坪)
1階/74.94㎡(22.70坪)
2階/44.30㎡ ( 13.42坪)
構造/木造ツーバイフォー2階建
間取り/3LDK+S
家族構成/4人(大人2人・子ども2人)犬2頭
◎ 外部仕上げ
屋根/ガルバリウム鋼板 縦平葺き
外壁/信州カラマツT&T 一部モルタル仕上げ
◎内部仕上げ
床材/1F・2F:オーク材
LDK天井/ウエスタンレッドシダー
PROFILE◎ほりうちなおこ1978年東京都出身。小中学時代をベルギーフランスなどで過ごし帰国後バイリンガルとしてラジオ、イベントなど多方面で活躍。高校時代にボディボードを始めることで海と接し現在もサーフィン、スケート、スノボー、SUPの4Sをこよなく愛する。休みの時間を利用して海へと通うライフスタイル2015年に乳がんになり、環境を変えるために九十九里へ移住。波乗りしながら好きなことだけを選んで過ごせば長生きでいることに気づく。「乳がんと向き合う女性達をファッショナブルにサポート」をコンセプトの乳がんプロジェクト「Hello Sunshine Project」を立ち上げる。一人でも多くの女性達に健康で輝く毎日を送ってもらえるような活動を展開中。
声の仕事やライフスタイルの情報は
Instagram: @hellosunshineproject @viabella.viabella
FB: Hello Sunshine Project / Via Bella
Online Store: https://viabella-shop.com
ラジオ番組「うまいもんみっけ」がスタート。 radikoで検索してください。
<取材協力>
海辺の工務店 株式会社 バウムスタンフ
〒251-0047 神奈川県藤沢市辻堂5丁目4−11 番 C 号
TEL: 0466-34-0030 FAX: 0466-34-0031
e-mail : baum@baumstumpf.com