不思議なもので、今年もお盆がすぎると朝晩にはすこしひんやりとした風が吹き、日中の蝉の声のあと、夕暮れには秋の虫の音が聞こえだしました。
夏の華やかさに後ろ髪を引かれつつも、猛暑にぐったりと疲れた体はホッとするこの頃。葉山・森戸神社周辺では祭りの準備が始まります。
小さな葉山の町には7つの鎮守の神社があり、一色の森山神社、下山口の神明社などでも、周辺で暮らす人たちが氏神様への感謝と祈りを込めて祭りが執り行われます。
その最後を締めるのが、毎年9月8日に行われる「森戸神社例大祭」。お盆がすぎた頃、周辺の町内会では町の重鎮たちがいそいそと神輿の準備に追われ、観光シーズンとはまた違った町の活気が立ち込め始めます。神輿の準備やご祝儀の対応など、普段はのんびりとした町内の大先輩方が、「ああ、忙しい、忙しい!」と道を往来しています。
合間にビールを飲みに店に立ち寄ってくれては、「もうそろそろ引退したいんだけどね!」なんて愚痴を言いつつ、でもとても嬉しそうな横顔を見せたりします。同年代のご近所さん達も、会社や仕事の調整もぬかりなく、祭りの日は朝から半纏姿で溌剌とした表情で町を闊歩します。
森戸神社の例大祭は、夕方から夜にかけて各地区からの神輿が通りを練り歩き、薄暮の中に響く独特の掛け声や甚句という歌、神輿に付けられた提燈の灯りがなんとも幻想的で、毎年見入ってしまう光景です。
全国の名だたる祭りに比べれば小さいかもしれないけれど、丁度良い規模感と、町の人たちが寄り添って夏を惜しみ、神様への感謝と豊穣の祈りを捧げるこの祭りは、一見の価値あり!
リポート:宇式菜穂子さん http://www.gazebo-hayama.com