鎌倉・湘南エリアの絵になる風景と言えば、「小径」(こみち)と呼ばれる、道幅の狭い路地ではないでしょうか。たくさんの雑誌や観光ガイドに写真が掲載されていますし、本も出版されています。
すでに紹介し尽くされている感のある路地ですが、敢えて路地の魅力を再考してみたいと思います。
路地の魅力はなんといってもその細さと、その先に驚きの風景がどんと広がることが最も感動的です。
たとえば葉山町一色の御用邸あたりの路地が代表格ですが、鎌倉には材木座や坂ノ下にもいくつかポイントがあります。こうした路地は自分で発見することで喜びが増しますね。
次に私が好きな路地は、お屋敷の脇道路地。生垣がきれいであったり、板張りの塀もノスタルジックな雰囲気があったり。なかでも鎌倉市小町にある『大佛茶廊』沿いの路地は、ゆるやかのカーブに「大和張り」という板を手前奥と交互に張る工法で、歩いているとちらちらと庭の緑が見えるのです。
素敵な生活を少しだけ拝見できる喜びが、このお屋敷の脇道路地なのです。
最後に紹介したのは、なんといくつもの路地が建物内部に計画された建物、七里ガ浜にある複合施設『WEEKEND HOUSE ALLEY』です。ここは、建物にいくつもの切り通しの路地のような空間がつくられています。そこには内部空間を垣間見ることもでき、路地の先にどんと海が現れる景色が楽しめ、路地が交差する部分もまた面白いのです。意外にも七里ガ浜に路地のパラダイスがあったのです。
リポート◎小松 啓さん
鎌倉・湘南エリアを独自の視点で不動産を発掘、提案する「鎌倉R不動産」代表取締役
https://www.realkamakuraestate.jp