三浦半島西岸の小高い丘の上。相模湾、伊豆半島、そして富士山を望むことができる「絶景を切り取る家」。
職人による手仕事が廃れることに危機感を持ち、伝統工法を得意とするホームビルダーを求めていたSさんは、
神奈川エコハウスとの家づくりを選択した。
周囲の環境に十二分な配慮をした設計と確かな施工で、
冷暖房をほとんど使わずに快適に過ごせる家が、ここに生まれた。
火山灰シラスの塗り壁と桧などの自然素材をまとったアースカラーのS邸。自然豊かな周囲の環境にもよく馴染んでいる。また、太陽光発電パネルと太陽熱温水器の効率を考えて、屋根は少し急な5寸勾配にした。発電量も多く、売電によってコストがかからない「ゼロエネルギー」の状態だそう
地球規模の歴史観や自然観をお持ちのお施主様は、職人による手仕事の継承等にも問題意識が高く、伝統工法を得意とする設計事務所や、自然志向の住宅をつくる会社を求めて長野県まで足を運ばれたそうです。そして、大工をはじめとした職人の手仕事を大切にする当社を気に入ってくださいました。
敷地からの眺めは素晴らしく、お施主様は当初、より眺望の期待できる2階にリビングを設けるつもりでしたが、長閑な場所にもかかわらず準防火地域だったため、2階は窓が全開できないどころか網入りガラスになってしまうことが判明。リビングを1階にした上で、延焼ラインを避ける絶妙な位置にメインの開口部を設け、手前の木々や屋根越しに、望み通りの景色を手に入れることができました。
自然エネルギーの最大活用を目指して、屋根には太陽光発電パネルと太陽熱温水器を搭載。入居時は見合わせた蓄電池の採用も、まだ諦めていません。玄関に古民家の蔵戸を再利用しただけでなく、年代物の古い家具が並ぶ建物は、年月とともに木の色に深みが増し、次第に調和が取れていくことでしょう。
三浦半島西岸の高台は、晴れて空気の澄んだ日には富士山と相模湾を手中に収めることができる。リビングと和室のサッシを全開にすると、室内にいながら外にいるような感覚で景色を楽しめる。敷地が西側に傾斜して下がっていたが、基礎を高くして1階での眺望を確保した
玄関扉は70-80ミリはあろうかという古民家の蔵戸を再利用したもの。日本建築がお好きな施主のこだわりが見える
和の趣と目隠しを兼ねてエントランスの手前には笹を植えた
和室は、堀ごたつのある畳敷きのリビングで、この家一番の特等席。襖、障子、ガラス戸を引き込めば、リビングともデッキとも一体の開放的な空間が広がる
竿縁に竹を使った葦の天井は数寄屋のような趣き。一部をアクリル板にした建築化照明で、天井をすっきりさせた
ホワイトオークの無垢材と2ボウルの広い洗面台を組み合わせたパウダールーム
横長のサッシを収めたバスルーム。海と富士山が見えることは言うまでもない
2階の寝室は小屋裏を活かした勾配天井で開放的。天井に杉板を使い、木の香りが漂う
和室に限らず、全ての窓に障子や戸襖を採用しており、カーテンやブラインドがないS邸。障子紙を通した柔らかな光が拡散し、断熱面でも効果が高い。漆喰塗りの壁と桧板張り天井の清々しい空間に、箱階段や舟箪笥などのアンティークな家具がアクセントになっている
- DATA
神奈川県横須賀市S邸
敷地面積/277.60㎡〔83.9坪〕
延床面積/135.80㎡〔41.0坪〕
1階 67.90㎡〔20.5坪〕
2階 67.90㎡〔20.5坪〕)
用途地域/第一種中高層住居専用地域
構造/木造軸組工法2階建て
間取り/3LDK+LOFT
設計・施工/神奈川エコハウス株式会社
家族構成/2人
■ MATERIAL
[外部仕上げ]
屋根/カラーステンレス鋼板平葺き 軒天井/杉厚板化粧野地
外壁/火山灰シラス塗り壁(そとん壁)
[内部仕上げ]
天井/桧板張り、サツマ葦合板・竿縁天井、環境壁紙貼り、杉ムクパネル現し
壁/漆喰塗り、わら入り珪藻土塗り、環境壁紙貼り
床/床暖用無垢フローリング:厚15㎜(タモ)、無垢フローリング:厚15㎜(タモ/桧/カバザクラ)