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【LEGENDインタビュー】写真家:竹沢うるまさん(神奈川県鎌倉市)

  • Posted on 2025年9月17日2025年9月18日
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  • バイザシー 編集部
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取材・撮影:藤原書店(ワイズクリエイティブオフィス

竹沢うるま氏(以下敬称略)は鎌倉で、奥まった袋小路にひっそりとたたずむ平屋に居を構えている。写真家として多くを海外で過ごすことが多かったためか、鎌倉に住むことに強い思いはなかったようだがすでに23年、この家に住み始めてからは15年近くになる。

しばらくクック諸島で暮らしていた期間も鎌倉の家は保存していた。自然が少なく人が多い東京には住めないから、海や森、文化、歴史、トレンドがそれぞれバランスよくコンパクトに配置されていて好きな街だと話す。

どちらかの優位性を競うのではなく写真家とカメラマンの差異はなんだろうと問えば、クライアントがあり期待にしっかり応える役割がカメラマンで、自身でテーマを持ち自由にレンズを向けて信念のある作品を撮るのが写真家、なのだろうか。かつてわたしが知る竹沢うるまは、もの静かなカメラマンだった。

関西の有名大学法学部に在籍していた竹沢が、「すべてのはじまり」と振り返るのは18歳の頃、所属していたダイビングサークルで体験した沖縄の海だった。水面を境に陸上とはまったく違う世界を体験した。しかし、家に帰ればその感動を忘れてしまう。写真に残しておきたいと思ったきっかけがそこにあった。わりと無口だった竹沢にとって「写真は言語なんだ」と気づかされた瞬間だったと振り返る。

有名大学を卒業しても時代は就職氷河期、どこかに就職するにしてもやりたいことはやっておきたいと、1年間休学してアメリカを旅した。卒業を1年延ばしても就職の状況は悪化する一方だった。

「やりたいこと」に素直にしたがうように、22歳の時雑誌『ダイビングワールド』を発行していた出版社にスタッフフォトグラファーとして所属する。そこからのおよそ3年間は国内、海外でのロケやスタジオ撮影に経験を積んだ。しかし写真に対して確信は持てず「30歳になったら辞める」が口癖だったと笑う。

出版社を退社し、その後はフリーカメラマンとして仕事に精を出した。クライアント要望に応えるために「必死だった」。おそらくそのクオリティと控えめだけど優しく冷静な振る舞いがクライアントには好評だったのだろう。

2010年32歳で103カ国の旅に出る。南米、アフリカ、ユーラシア大陸からいわゆるシルクロードを経て中国、韓国を経て帰国したのは3年後、ここで人生の潮目が変わった。

その後に上梓した写真集が「Walkabout」(小学館)だ。彼にとって写真家として歩み始めるきっかけとなった作品だ。アボリジニが大人になるために自力で半年間の旅に出て村に帰ってくることでようやく成人として認められる「通過儀礼」という意味を共有しているのだそうだ。まさに写真家としての「通過儀礼」となる作品となった。

「ブエナビスタ」「コルラ」「BOUNDARY」「Remastering」「情熱熱帯夜」など、その後は3年に1冊のペースで順調に作品を生み出している。写真家としてなにを求めて、なにを表現(語る)しようとしているのかは彼自身も弄り続けていたことだろう。

コロナパンデミックを経てからは、日本の四季を撮り続けた。知床、白神山地、小笠原、西表、紀伊山地、屋久島という自然遺産だ。

2025年の今年12月には「Walkabout」から10作目となる作品が発表される。「世界の中心はどこにあるのか」がテーマとなるこの写真集には日本の写真も含まれるかもしれないと話してくれた。

自身の作品の対象を「大地」そしてそこに住む「人間」としていると話す。自身が旅をして見てきたもの、どうして旅を続けたのか、5年後には全作品がつながる、その答えはもうじき出せるという。

18歳から海を撮り始めて32歳の時に出した「Walkabout」まで14年。47歳の今から振り返るとあの写真集がちょうど中間点だ。「長いこと海に入ってたんだなあ」と笑う。

日本にいる時間も多くなり、住みつづけた鎌倉をじっくり歩くようになった。歩いて行ける海や森があり、街もある。旅を続けたことで住まいは横軸で動いていた。しかし一度住み始めると最低3年は住み続けるという奥様の影響で縦軸で移動するようになったそうだ。

「海と山ならどちらがいい? 海ですね。山に行くのは好きですが、海には水平線があってかならずどこかに繋がっているという安心感があるから」

「この1枚の写真は5年後まで生き続けるのか? 数秒で終わるのか」を常に考えてシャッターを押すという。そしてその作品にストーリー性があるのかを常に問う。いうまでもなくSNSの写真とは時間軸、作品性の違いがあるからら視野にはない。

『写真とは自身の内面と外界とのコミュニケーションを撮る架け橋。その橋の先がどこなのかはわからない』と結んだ。

心地いいという鎌倉に住みながらも竹沢うるまは、旅をやめない。そう思うと12月の作品も楽しみでならないのだ。

Biography 竹沢うるま

1977年生まれ。同志社大学法学部法律学科卒業。在学中、アメリカ一年滞在し、モノクロの現像所でアルバイトをしながら独学で写真を学ぶ。帰国後、ダイビング雑誌のスタッフフォトグラファーとして水中撮影を専門とし、2004年よりフリーランスとなり、写真家としての活動を本格的に開始。これまで訪れた国と地域は140を越す。

2010年〜2012年にかけて、1021日103カ国を巡る旅を敢行し、写真集「Walkabout」と対になる旅行記「The Songlines」を発表。2014年には第3回日経ナショナルジオグラフィック写真賞受賞。2015年に開催されたニューヨークでの個展は多くのメディアに取り上げられ現地で評価されるなど、国内外で写真集や写真展を通じて作品発表をしている。

* Uruma(うるま) は沖縄の方言で珊瑚の島という意味

Bibliography

「Tio’s Island」(写真:竹沢うるま 物語:池澤夏樹) 小学館 2010

「Walkabout」 小学館 2013

「The Songlines」 小学館 2015

「今」 (写真:竹沢うるま 詩:谷川俊太郎) 小学館 2015

「Buena Vista」創芸社2015

「Kor La」小学館 2016

「旅情熱帯夜」実業之日本社 2016

「ルンタ」小学館2017

「Remastering」写真編集研究所 2020 

「Boundary | 境界」青幻舎2021

「Walkabout」

「Remastering」

「旅情熱帯夜」

「ルンタ」

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