都会に住む人たちにとって、湘南移住、なかでも「鎌倉」はちょっと敷居が高い。しかし本誌ではこれまで「鎌倉をあきらめきれない」読者の方のかたのために、中古住宅や古民家リノベショーンなど賢い住まいづくりをご紹介してきました。今回は海辺に近い希少なマンションを抜群のセンスでフルリノベーションされたO様をご紹介します。

世界が認める国際観光都市とされる神奈川県鎌倉。一部ではオーバーツーリズムも危惧されてはいるけれど、高い文化度で都心からの移住者に向けてしっかりブランディングされています。一方で不動産、とくに土地価格は上昇し庶民感覚からは乖離しはじめた感触もあります。
ならばと、中古住宅や古民家はどうか? あるいは多少の交通の不便を我慢すれば良い物件にも出会えそうだ。こんな風に鎌倉の不動産物件は多種多様なフィルターで検索することができます。なかでも安全性や快適性から注目されている中古マンションのリノベーションは、鎌倉移住の賢い第一歩かもしれません。
規制の多い鎌倉にはマンション自体が少ないのですが、温暖化の影響を受ける近年、マンションの災害に対する耐震性や室内の快適さを無視することもできません。
施主のおふたりが鎌倉に関心を抱きはじめたのは、コロナの終わり頃、東京・中野のタワマンから北鎌倉に移住した、自然が好きな友人の体験談だったそう。「朝は鳥の囀りが聞こえるし星がきれい、東京まで1時間」の言葉があと押しし「都会の便利さを手放す良いきっかけになった」と振り返ります。

鎌倉移住の一歩目は、築48年のフルリノベーションされた戸建住宅の2階部分を賃貸で住み始めたこと。ほどなくして鎌倉生活にも慣れはじめたころ、家賃とのバランスを考えて「家を持つ」方向で鎌倉駅西口のココハウスに相談を持ち込みます。横浜の企業に勤めるO様は通勤のこともあり、JR鎌倉駅から徒歩20分、チャリンコで10分程度、高低差が少ないことなどを緩い条件として、戸建てから中古住宅まで広くオープンに見立てていた中で、鎌倉では希少なこの築浅マンションと出会うことに。70㎡はふたりと2匹の猫とのコンパクトな暮らしにもぴったりの物件でした。
もとからインテリアに大いに興味があったことから店舗デザインが得意な都内の建築デザイナー(NOW’S紫垣喬史さん)に相談。標準的な3LDKの間取りを大胆にワンルームに大改造することを計画します。


玄関口に入ると無造作にシューズクロークと納戸スペースがあります。ワンルームを大きくゾーニングすれば、書斎スペースとリビング、キッチンとベッドルーム。そしてアール壁に囲まれたバスルームとトイレの水回りがおよそ70㎡のフロアに配置されています。あたかも居心地の良いカフェのような空間です。
リビングの奥、ベランダまで続くヘリンボーンの床が自由な空間をとてもリッチに演出しています。「部屋がいくつもあっても使わないこともありがちだし、気分でレイアウトを自由に変更できるというメリットもあるし、戸建てでなくマンションでどこまで満足したリノベができるかも実験してみたかった」と話されます。
東京を離れて2年が経ち、鎌倉の生活にもすっかり慣れてきた。ダイビングが好きな奥様は湘南の海で潜ることもある、自由な時間で何種類かの仕事も持つこともでき、仕事と余暇のバランスがとてもいいのだそう。
「しばらくは鎌倉で歳を重ねることになりそうです」と満足げに話されています。











