ある晴れた日の逗子の街の一コマ。
「わーい、いってらっしゃーい」
取材中、N様邸前の小道を近所のご家族が大きな声で手を振りながら通り過ぎた。1階リビングからもガラスの向こうに向かって奥様も手を振って返す。玄関先に垣根もないからお互いの様子がよくわかるのだ。
N様ご夫妻は7年前に逗子に移住した。その直後に小誌バイザシーで取材をさせていただいたご縁がある。その夏、ペタペタとすっかり日焼けしてビーチサンダルを履いて歩くご夫妻を見かけた。すっかり地元の人と思わせる立ち姿。
「沖縄が大好きで頻繁に通うご夫婦は、サンゴの環礁をイメージしてエントランスを構成した。きれいに手入れされた芝生の一角には、シンボルツリーとして大きなやまぼうしを置いた。木の外壁をまとった家を置き去りにすることなく、まるで寄りそうパートナーのように庭がその役割を果たしている」そういう記事を書かせていただいてから7年。
ご家族には5歳の男の子が加わって3人家族となっている。
無垢材の外壁は経年変化を見せて「これが湘南のスタンダード」だと言わんばかりに矍鑠とした立ち姿を見せてくれている。施工を担当したのは逗子のみならず湘南一帯での代表的なプレステージを持つ工務店キリガヤ 。当時7社が競うことになった競合コンペを勝ち抜いた。湘南の気候風土を知り尽くしているという意味でもこの地域で圧倒的である。
当時ご主人がハンモックを吊るしてくつろいでいた2階のフリースペースはいまや長男の男の子の運動部屋だ。体を動かすことがすきなご家族は、ご主人は釣りに、奥様は夏には葉山の海でシュノーケリングを楽しんでいるという。
「逗子は自然が近くて時間もゆったりと流れる。ちょっとした時間の隙間で遊べるからロスがないんです」と笑う。
竣工から7年、建物も住まい手もすっかり逗子にとけ込んで、移住者であることはおよそ想像がつかない。よく日焼けした屈託のない笑顔。こんな素敵な移住者になりたいと思いませんか。
BUILDERS’S NOTE(キリガヤからのメッセージ)
木陰がさわやかな風を生み出す、庭に植えたシンボルツリーの“ヤマボウシと外観はこの家の象徴として道行く人の足を止める。1Fリビングの天井高は約4M。吹抜け同様の開放感は圧巻。高窓からの日差しと風は一年を通じて心地よさを運んで着てくれる。エアコンに頼ることなく、快適な暮らしを実現している。広々とした玄関と納戸は趣味のためのグッズ一式をたっぷり収納してくれる。風が吹き抜ける2Fのセカンドリビングは、将来子供部屋として間仕切りも可能。
INFORMATION
神奈川県逗子市N様邸
敷地面積/178.75㎡(54.07坪)
延床面積/125.14㎡(37.85坪)
1階/57.13㎡(17.28坪)
2階/54.83㎡(16.58坪)
用途地域/第一種低層住居専用地域
構造/木造2階建
間取り/3LDK
設計・施工/株式会社キリガヤ
家族構成/3人(子供1人)
MATERIAL
●外部仕上げ
屋根/ガルバリウム鋼板葺き
外壁/軽量モルタル左官仕上げ
一部 レッドシダー張り
- 主要内部仕上げ
床材/1Fパイン材 20mm
2Fパイン材 20mm
壁/ルナファーザー仕上げ 一部 ヘムロック羽目板張り
天井/ルナファーザー仕上げ 一部 パイン羽目板張り