湘南で長く暮らしているご夫妻が「これだけははずせない」と語るウエスタンレッドシダーの外壁材。大人の鎌倉生活、ここにあり。
ともに地元湘南で育ったおふたりが、新たな住まいづくりで共有したのはウエスタンレッドシダー(米杉)の外壁の家。全国的にみてもおそらく湘南エリアで多く採用されているのではないだろうか。温暖な海の気候風土にもっとも相応しいことがその証左である。
庭に立ってご夫妻と設計者がレッドシダーの経年変化に期待を語りはじめる。「エントランスの雨に濡れない軒下はまだ青白く若い。南面で強い陽光に抗う壁面はすでにシルバーに変わりはじめている。雨垂れのような紋様は樹脂が浮き出たものだ」と。
まだ古家が建っていたこの場所で、2階のバルコニーからは水平線が見えると推測され、1階と2階リビングと2つのプランができ上がったのだが、結果として大きな吹き抜けを構えた1階リビング案が採択されることになった。南面のはめ殺しのハイサッシからは溢れんばかり陽光が降り注いで明るくて暖かい空間だ。
1階のリビングダイニングと2階の各居室は、床、壁の材料と色彩が統一された落ち着いた空間である。外壁だけでなく住まいの空間は飽きのこないデザインが長く暮らすコツなんだろう。人の成長ととともに家族は変化しても家はいつまでも変わらず家族に寄り添っていくものだ。
話は逸れるが、直前までお住まいだったのは海をまのあたりにする国道134号線に近い住まいだった。「高台の家に越してからは塩害も風も少し軽減されて、景色の代わりに静けさを得た」のだそうだ。
ご主人のたっての希望はインナーガレージだった。そしてその奥に隠れ家的な「男の空間」をつくること。大きなミニバンが余裕で格納され両サイドのドアが開けるほど大きなスペースだからアプローチを使えば3台の車が駐車できる。のちに「男の空間」は2階の1室に移動することになったが、その分日常においてこの広いガレージの利用価値は高いと話す。
庭に目をやると、手すりのないインフィニティなウッドデッキが広がる。これはご主人がご自身で完成させたという。通り側にフェンスを設けず、低い目線の先には南半球のオージープランツが逞しく育ち日常生活を遮ってくれている。この庭とレッドシダーの建物のコラボレーションは新しい湘南のスタンダードのように見えた。
神奈川県鎌倉市O様邸
敷地面積/231.89㎡(70.14坪)
建築面積/81.77㎡(24.73坪)
延床面積/117.43㎡(35.52坪)
1階/61.90㎡(18.72坪)
2階/55.53㎡(16.79坪)
構造/木造2階建て 3LDK
設計・施工/株式会社バウムスタンフ
家族構成/3人(子ども1人)
· ◎外部仕上げ
· 屋根/ガルバリウム
· 外壁/米杉(縦貼り)
· ◎内部仕上げ
· 床材/オーク ラスティックグレード
· 壁/ドライウォール+ビニールクロス
· 天井/レッドシダー+ビニールクロス
BUILDER’S NOTE
O様ご家族は、海の真ん前に住んでいらっしゃいました。誰もが羨むような立地でしたが家の老朽化で住み替えを決意されました。ご夫婦のご希望は、ご主人がインナーガレージ、奥様がキッチンから見渡せるお庭と吹抜のある大空間でした。その2本柱を中心に足し引きして空間を練り上げていきました。ご夫婦共に家づくりかける熱量が高かったのでプランに時間が掛かりましたが、その分満足のいく素敵な家ができたと思います。