世代で繋ぐ住まい、大工の父が棟梁として建てた息子家族の団らんの家
「賃貸住宅に住み続けるならいっそ戸建を建てたい」
おふたりとも横須賀で生まれ育ったご夫婦は、愛着のあるこの地で家づくりを始めました。ご主人のお父さまが大工というIさんは、家づくりのプロである父に相談され世代で繋ぐ家づくりがスタートしました。お父さまにとっても、「息子の家を建てる」というのは胸の熱くなる仕事だったことでしょう。設計はお父さまが信頼を寄せているキリガヤへ。棟梁はお父さまが担いました。
建築から4年を経て街並みにもすっかり馴染んだお住まいでは、家が建ってから生まれた3歳のお子様とご夫婦が暮らします。お祖父さまが建ててくれた家で生まれたときから暮らすお孫さんがこの家を3世代で繋ぐ象徴かもしれません。
印象的な縦格子の目隠しを持つエントランスを通り、玄関ドアの引き戸は、4年経った今でも木の香りを強く残しています。大きなシューズインクローゼットを備えた玄関から、2階の階段が目に入ります。無垢板を贅沢に使った立派な階段に大工の矜持を感じます。
1階は居室と水回りなどを集約、2階リビングに家族の団らんの空間を凝縮しました。
「この土地を買った時に、この見晴らしを活かせる2階リビングにしようと決めていました」とおっしゃるように、2階からの眺めは晴れた日には遠くに横須賀の海を見ることができ、仕切りのない大きなリビング&ダイニングからはこの景色をゆったりと眺めて過ごすことができます。南面に設けた3つの大きな窓から太陽光をふんだんに取り入れているので、「冬でも晴れた日には暖房を使わなくて済むほど暖かい」と話します。
とくに掃き出し窓に面する畳スペースは、昼寝もできほっこりとした時間を過ごすことができます。対面のキッチンなど家事導線も良好で、随所に収納も用意されています。
「何も不満のないところが長所かな」と笑うIさん。奇をてらうことなく「日々基本的な生活を送る」ことができるこの家は、大工が手掛けた家と聞けば納得。窓際にしつらえたワークスペースや棚には無垢板を使用し、壁にはエッグウオールを採用するなど自然素材を身近な場所に採用していることも特徴的です。
30坪あまりの建物の中に強い構造、自然素材の最大活用、シンプルで使いやすいデザインが盛り込まれているところに、その堅実さと家族への想いを感じることができます。
INFORMATION
敷地面積/151.05㎡
延床面積/103.93㎡
構造/木造2階建
間取/2LDK+フリースペース
設計施工/株式会社キリガヤ
MATERIAL
◎外部仕上げ
屋根/コロニアル
外壁/リシン吹付
◎内部仕上げ
床材/杉
壁/エッグパルプ
天井/エッグパルプ、一部ヘムロック羽目板
BUILDERS NOTE
設計に関しては、ほぼお任せしていただけたので自由に設計させて頂きシンプルで暮らしやすいプランにまとめることができました。4年が経って木の風合いもほどよく落ち着いた住まいになっていました。「不満なく暮らせている」とのお言葉からご提案した間取りやプランに合格点をいただいているようです。管理や掃除も行き届いており、4年経っているとは思えないほど綺麗に愛着を持って丁寧に暮らしていただけてうれしい限りです。