ずっと東京にいるとどんどん自然から遠ざかっていきますよ。そろそろ移住しませんか?
撮影◎山本倫子
6年間江戸川の分譲マンションで暮らした生活は、職住接近でとても利便性が高かった。ただ、部屋が手狭な感もあってぼんやりと移住を考えていた。
茅ヶ崎や藤沢あたりを想定していたが、知人が住んでみて好評価だった逗子が面白いかもしれない、「とりあえず賃貸で住んでみよう」と。
東京五輪の前、都内のマンションは販売価格が高騰し、移住者の背中を押すきっかけにもなっていた。結果的に16年間のマンション暮らしはタダになり少し余剰が出るほどの金額で売れた。
新型コロナ感染拡大が2年間も続きいよいよ都内にいる理由がなくなった。
まだ古家が建つこの土地との出会いは、逗子や鎌倉の価値ある物件を紹介してくれる不動産会社COCO-HOUSEだった。
奥様の強いご希望で現地を見たご主人もこの眺望で、即決することに。はじめは注文住宅で土地探しから考えていたものの「日本家屋の良さと逗子をパノラマで見渡せるこの眺望にイチコロでした」と笑う。
古い時代の家だけに壁を取り払うと太く大きな梁が露出する。
「これはリフォームくらいでは済まない」という判断で数社の住宅会社に相談したところほとんが辞退する思わぬ展開に。最後に出会ったのが「シンプルで心地よい風景を創造する」desus建築設計事務所だったそう。
「子供がまだ小さかったら新築を建てていたかもしれない。でも僕らにはその必要がないからとにかくかっこよくしたかった」
設計事務所がそんな施主の意図を汲み取ってデザイン、設計してくれた。薪ストーブが欲しかった施主にエタノール暖炉を勧めるなど「ほぼ彼らのデザインが優先されています」と話す。
着工は2021年の夏、引越したのは2022年4月で、およそ9ヶ月に及ぶ大がかりなリノベーションだったがその成果はご覧のとおりだ。
最近Tさんの勤務形態は月1回出社のテレワーク。
「朝起きたら植物に水をあげてコーヒーを飲んだり、、、。海が近いことで最近ウインドサーフィンを始めました。地元の駅近くで美味しいお店があってこの街で生活がほぼ完結する。東京の飲み会にはすっかり行かなくなりました。」とご主人。
「時間に余裕ができてヨガなどの趣味に費やせるようになりました。 困りごと? 虫が多い」と奥様が笑う。
おふたりは固苦しい都会生活からどんどん自然に向かって軟化しているようです。