撮影:山本倫子Noriko Yamamoto
東京・品川で暮らしてきたご家族が、祖父の時代から縁のあった逗子市に移住を決めたのは2021年の暮れ。移住を決め、逗子のビーチのすぐそばの住宅地に土地を取得したが、工務店がなかなか決められない状況でバイザシービルダーズ倶楽部にご相談をいただきました。それからおよそ1年半、2023年春、仲の良いご家族の新たなストーリーがはじまります。
幸せレシピの第1章は家づくりから。
ご主人にとって逗子は夏休み行くおばあちゃんの家、東京に近い「田舎」だったから思い入れは強かった。
お子さまは小学生と高校生の女子ふたり。移住すれば小学生は転校し、長女は今まで通り品川まで通学することになるのだが、ご主人は移住のタイミングを感じ逗子の土地情報を検索していた。とくに海のそばを求めていたわけではないが出会ったのは海から1分の新しい分譲地だった。
背後に丘を抱えることで津波という予測できない災害にも対応できる環境だ(実際はかなり急な坂道を上ることになるのだが)。逗子は海と山があることで近年の頻繁に発生する自然災害にも柔軟に対応できることも安心につながる。
土地取得後も子どもたちの進学を考慮すると引越しまでそれほど猶予もなかった。折しもコロナ禍で建築資材の不足によってあちこちで建築が滞っていて引き渡し時期を確約してくれる工務店も限られてきた。そこでビルダーズクラブとの出会いがスタート。
「品川の家はコンクリートの打ちっぱなしの家だったから、つぎは木の家に住みたかった」。最終的に設計施工を担当したのは、湘南屈指のレッドシダーの家づくりを得意とする海辺の工務店バウムスタンフ社。年間施工棟数も多く資材もしっかり確保していて施工完了も確約できた。なによりも「敷居が高くなく家づくりを楽しめそう」という印象だった。
ご主人と次女の趣味はボルダリングで、写真のようにガレージにクライミングウォールを設置することが第一希望。リビングと繋がりのある軒の深いカバードポーチ、大きな吹き抜けもご希望だった。設計は湘南で暮らし気候風土をよく知る女性建築士。
「この家はなにスタイルなの? とよく聞かれるけど、照明やキッチン、トイレなど隅々まで僕が決めたから『OWN STYLE』なんだろうね」とご主人。
高校生の長女は電車通学だ。品川から「逗子駅に着くと海の匂いがしてホッとする」と話す。「品川より圧倒的に逗子が好き」とも。
「石(コンクリート)の家にはじまりここで木の家をつくったから次は「藁の家」かなあ。古民家を再生してみたいな」と三匹の子豚をなぞって笑う。
とにもかくにも、家族みんなが笑顔でいっぱいの毎日。
幸せレシピの第1章は、家づくりからはじまっている。
・神奈川県逗子市Y様邸
・敷地面積/166.45㎡
・建築面積/88.49㎡
・延床面積/125.51㎡
1階/77.83㎡
2階/47.68㎡
・構造 木造2階建て 3LDK+ガレージ
・設計・施工/株式会社バウムスタンフ
・ 家族構成/4人(子ども2人)
・ 屋根/ガルバリウム
・外壁/米杉シングル+唐松縦羽目
・ 床材/無垢チーク
・ 壁/ドライウォール+ビニールクロス
・ 天井/米杉+ビニールクロス
BUILDER’S NOTE
東京からふるさとのような逗子へ。土地は海と駅との徒歩圏ですが、津波の際は山へ避難できる立地を選択されました。ご主人たってのご希望でクライミングができる部屋を中心に、米杉のシングル葺とカバードポーチ、内部のチークの床はヘリンボーンとこだわりのお住まいが完成しました。照明器具などはご自身で探され好みのものを配置。それぞれに思い入れが詰まった家は、これからご家族にとってますます愛着の増すお住まいになることと思います。