かっ「おうちカフェ」のそもそものはじまりは、家で過す時間を大切にしたい、
友人と会うなら、外より家でゆっくり会話を楽しみたい、
そんなところからより内面の豊かさや充実感に目が向いてきた事が始まりでは無いでしょうか。
ただここで言う豊かさや充実感は、けっして豪華できらびやかなものへの志向ではなく、
実に等身大で肩の力の抜けた感じ、ホッこりとした暖かい感じで、そんな気負い無さが今の気分なのでしょう。
カフェっぽい雰囲気にしたいという方に共通するのは、
一つずつ買い揃えたアンティークの家具や旅先で出会った調度品など、
自分のフィルターを通して集めた好きなものを家の中にちりばめて、
自分らしい居心地の良い空間にしたい..という依頼です。
そして作り上げた空間または作り続けている空間で、気の合う仲間と過したい、と言う事だと思います。
そんなお気に入りのインテリアを中心に、素敵な時間を仲間と共有する為に、
自慢の手作りスイーツを提供したり、お奨めのワインを抜いたりと、ゆるいおもてなしを自宅で行う。
その時のしつらえとして、気分に合った音楽をセレクトし、雰囲気に合わせた照明、
フラワーアレンジメントや香りの演出など、自分たち家族と仲間が心地よく過せる空気感のようなものが
まさに「カフェっぽい」という事になってきます。
そんな空間はギャラリーやサロンとしても使われ、暮らしを楽しむ人達の交流の場でもあります。
それでは具体的に、どのようなインテリアや素材感が「カフェ」らしい空間作りとなるのでしょう。
イメージとしては、古い建物や部屋を自分で改装したようなハンドメイド感と味わいを出していきます。
ポイントは○○風といったひとつのスタイルに限定せず、キメキメに作り込まないことです。
ナチュラルだけど甘すぎず、木の素材にスチールやステンレス、インダストリアル(工業系)の素材を組み合わせる、
古いものと新しいものを織り交ぜていくなどの、ミックスなスタイル。
ハンドメイド感を出す為に出来るだけラフな床や壁の仕上げもよりカフェらしさを演出してくれるでしょう。
また、昔っぽいチェッカーガラスをドアに入れてみたり、
あえて電気の配線を露出させた工場にあるようなスイッチボックスやスイッチプレート、
レトロなモザイクタイルなどちょっとノスタルジックな味わいを出すパーツ類も演出の決め手になります。
レイアウトとしては、やはり人が大勢集まってワイワイ過せる事を想定すると
キッチンやダイニングを中心としたレイアウトプランが望ましいでしょう。
アイランドカウンターを中心に何人かでキッチンに入り料理が作れる様なゆったりとしたキッチン計画であるとか、
オープンキッチンで部屋全体が見渡せ、バーカウンターを設けたり、
一部分スチールフレームの開閉式ガラスパーテーションなどを取り入れていくと、まさにパリのカフェ気分です。
ダイニングから良く見える部分には黒板メニューボードを設置し、その日のメニューやレシピを書いてみたり、
ハードカバーの洋書など表紙を見せながらブックスタンド(奥行きの無い書棚)などをダイニングに設け、
写真が綺麗なものやカラフルなデザインの本などディスプレイしていくと、
まさに「おうちカフェ」が出来上がります。
「おうちカフェ」には決まった定義はありません。
等身大で自然体の自分と空間で気の合う仲間に気持ちよくおもてなしする為の「場」作り、
ととらえて頂ければ誰にでも出来る事でしょう。
文:大浦比呂志(ネイチャーデコール)