「移住のきっかけはやっぱりコロナですね。緊急事態宣言が出るようになって我が家の移住が確定しました」
外資系企業に勤務するTさん。ご家族は奥様と成人したご長男の3人家族。
16年間江戸川の分譲マンションで暮した生活は、職住接近でとても利便性が高かった。ただ、部屋が手狭な感もあってなんとなく移住を考えていた。
茅ヶ崎や藤沢あたりを想定していたが、知り合いや会社の上司が住んで好評価だった逗子が面白いかもしれないと「とりあえず賃貸で逗子に住んでみよう」と。
東京五輪の前、都内のマンションは販売価格が高騰し、移住者の背中を押すきっかけにもなっていた。「結果的に16年間のマンション暮らしはタダだったし、少し余剰さえあった」とTさんは話す。
そこに2020年の新型コロナ感染拡大で都内にいる理由がなくなった。
まだ古家が建つこの土地との出会いは、逗子や鎌倉の価値ある物件を紹介してくれる不動産会社COCO-HOUSEだった。
奥様の強いご希望で現地を見たご主人はこの眺望で、即決することに。はじめは注文住宅を考えていたものの「日本家屋の良さと逗子の街をパノラマで見渡せるこの眺望にイチコロでした」と笑う。
古い時代の家だけに壁を取り払うと太く大きな梁が露出する。
しかし「これはリフォームくらいでは済まないね」ということでいくつかの住宅会社に相談したところほとんが辞退するという思わぬ展開に。最後に出会ったのがシンプルで心地よい風景を創造するdesus建築設計事務所だったそう。
「子供がまだ小さかったら新築を建てていたかもしれないですね。でも僕らはその必要がないからかっこよくしたかった」
設計事務所が施主の意図を汲み取ってデザイン、設計してくれた。薪ストーブが欲しかった施主にエタノール暖炉を勧められるなど「ほぼ彼らのデザインが優先されています」と話す。
着工は2021年の夏、引越したのは2022年4月で、およそ9ヶ月に及ぶ大掛かりなリノベーションだった。
Tさんの勤務は月1回程度の出社のテレワーク。
「朝起きたら植物に水をあげてコーヒーを飲んだり、、、、海が近いことで最近ウインドサーフィンを始めました。地元の駅近くで美味しいお店があったりこの街で生活が完結する。東京の飲み会に行かなくなりましたね。」とご主人。
「時間に余裕ができてヨガなどの趣味に費やせるようになりました。 困りごと? 虫が多い」と笑う。
おふたりは都会の生活からどんどん自然に向かっているようです。
撮影◎山本倫子
Photos by Noriko Yamamoto
取材協力◎株式会社COCO-HOUSE (鎌倉市)
Special Thanks COCO-HOUSE inc.