千葉県御宿町・澤地さんご家族
体温のあるナチュラルな暮らしを求めて、東京から房総移住を果たしたご家族。大自然の四季を感じるために、住まいは御宿町の広々とした高台に邸宅を構えた。人生を変える移住を決断したご家族の背中を押したものとは? まず収入源の確保。それに子どもの学校、近隣の医療体制は確認すべし
千葉県外房方面へ移住する方の多くは、サーフィンや釣りフリーク、バイク好き、自然とふれあう終の住まいをととのえたいかたがたで、彼らが求めているものは生活に便利な都会生活から一番対極にある暮らしかたです。
澤地さんは大学を卒業後、IT大手企業に就職、15年間日々パソコンと共存する生活がありました。そんな彼が無機質でかたぐるしい毎日の暮らしに違和感を持ち退職したのは2015年ころ。独立して飲食業をはじめるが難題続き。その後、ふたたびパソコンのスキルを活かして派遣職員としてITの世界に復帰します。それでも心のどこかで、自然と触れ合い人間的な暮らしを諦めることはできませんでした。
趣味のサーフィンは20年以上続けている。2020年世界中を席巻したコロナ禍でもあしげく千葉の海に通っていたころ、「毎週海に行くんだったらいっそ移住したら?」という奥様の一言が澤地さんの背中を押すことに。
「幸いいくばくかの蓄えがあったから」移住を実現することを決心します。
直面する課題、移住生活に欠かせないことはまず仕事です。御宿町の移住者支援制度を利用して農業生産法人に就職を決めた。東京ドーム8個分の大きさの農地で米づくりをする第一次産業の農業はもちろん未経験。
「美味しいお米をありがとう」という言葉をかけられる喜び。それは体温のないパソコン画面に没頭する生活からの大転換でした。
自ら汗をかいてゼロから育て、生産することの充実感はなにものにも代え難いと話します。
ありがたいことに小誌バイザシーの熱心な読者でもあった澤地さんは、毎回掲載されている「つるおか工務店」に家づくりを相談。
当初の計画では130坪あまりの余裕ある高台の一角に平屋を考えていたが、施工実績を見学した子供たちは大きなロフトが気に入った様子。3人のお子さんとの5人家族でも余裕ある40坪あまりの床面積の2階建に計画を変更。
2022年2月からは完成まで近隣に仮住まいも始まりました。おかげで脱衣所や倉庫、トイレ以外の壁は家族みんなで珪藻土を塗った。この家にはそんな思い出も詰まっています。東京では考えられない大きなウッドデッキやガレージを備えたゆとりある暮らし。これが外房生活のダイナミクスです。
こうして澤地家の東京・亀有から御宿町への移住は実現しました。
「振り返ってみると移住のポイントはまず収入源の確保が一番。それに子ども達の学校、そして近隣の医療体制はあらかじめ確認しておいた方がいい」と話します。
子どもを通して地元の方とのコミュニケーションはたちまちに広がります。この日の夕方も、子供が20人ほど広い澤地家に遊びに来るという。大人はテニスやゴルフなどの共通の趣味でつながりができるそうだ。子供達も東京より御宿の生活がとても楽しいと笑ってくれた。
ちょっと意地悪な質問を。
「いま困っていること? 音楽フェスに行きたーい」と奥様の声。
新しい世代の移住者が増えてきたら、あっという間にたくさんのフェスが開催されることでしょう。若い世代の移住こそ町の活性化につながるのですから。
INFORMATION
■敷地面積/399.63㎡(121.10坪)
延床面積/142.22㎡(43.09坪)
用途地域/第一種低層住居専用地域
構造/ツーバイフォー木造2階建て
間取り/2LDK
設計・施工/有限会社つるおか工務店
家族構成/5人(子ども3人)
■MATERIAL
◎外部仕上げ
屋根/シングル葺き
外壁/サイディング
◎内部仕上げ
床材/パイン材
壁/珪藻土、ビニールクロス
天井/ビニールクロス